2021年、コロナの大流行によりミュージシャンはライブショーや商品販売ができなくなり、収入源の多くを失いました。
そこで注目されたのがNFTの活用です。
音楽ビジネスとNFTといったテクノロジーは相性が良く、2021年には多くの事例が生まれました。
今回は事例から実際の売り方や作り方まで解説していきます。
NFTと音楽はどのように関わるのか?
音楽業界でも定評のある新進気鋭のアーティストがファンに直接アクセスして、曲やアルバム、アートワークなどをブロックチェーン上でトークン化されたバージョンを販売できることに気づきました。
NFTによって音楽を発信するアーティストは大幅に高い利益を生み出す可能性があると考えられています。
NFTは、音楽クリエイターがコンテンツをマーケティングおよび販売するための新しい方法を提供しており、アートや音楽、歌詞などを広め、消費する方法の新たな可能性を提示しています。
次に、2021年で具体的にどのような音楽NFTが売れたのか事例を中心に解説していきます。
NFT&音楽で成功した事例5選
- Jacques Greeneの音楽NFTが266万円で販売
- 3LAUがNFTとしてアルバムをリリース
- Steve AokiがNifty GatewayでNFTを販売
- Don Diabloがコンサート映像をNFTで126万ドルで販売
- ホイットニーヒューストンの未公開デモがNFTで販売
順番に説明していきます。
Jacques Greeneの音楽NFTが266万円で販売
Breaking new ground with @jacquesgreene. 🌐
An experiment with NFTs + music publishing, "Promise" was collected by @whatdotcd for 13 $ETH (~$23,000).
Shout-out to @jessewldn, @DavFields, @mikemckain_, @adamludwin, and @JordanLzG for bidding.
🤝 → https://t.co/MMR1Vz2QgC pic.twitter.com/wQ9bDogEAE
— Foundation 🌐 (@withFND) February 23, 2021
2021年の頭にイギリスを拠点とするレコードレーベルLuckyMeは、カナダのアーティストJacques Greeneが、シングル「Promise」の出版権を競売にかけることと発表しました。
オークションの前には、NFTマーケットプレイスの「Foundation」にて曲のTeaserを6秒だけ公開しています。
トラックは13ETH(当時の価格で約$ 23,000)で販売されました。
シングル曲をNFTとして販売する時、曲の全貌を見せるのではなく最初のティーザーだけ公開する方法はこれから音楽をNFTとして販売する際に参考になりますね。
3LAUがNFTとしてアルバムをリリース
WE did this TOGETHER!@Forbes front page.
Dream come true.https://t.co/uk5zjCESmr
— 3LAU (@3LAU) March 3, 2021
おそらく世界で最初に音楽NFTを採用したのが3LAUです。
2020年の秋からNFTと音楽を掛け合わせて販売し始め、33のNFTを組み合わせたUltravioletコレクションは3日間のオークションで1170万ドル売上ました。
日本円では13億円ほどになります。
この販売は音楽業界とNFTの大きな可能性を広めるものになりました。
また、8月にはNFT音楽プラットフォーム「Royal」を設立すると発表しました。
Royalでは、NFT所有者がミュージシャンの楽曲から使用料を得ることができるようになっています。
大きな販売と共に、今後音楽業界とNFTの未来を作るサービスを開発と業界への貢献までしており、3LAUの事例は大きく注目されました。
Steve AokiがNifty GatewayでNFTを販売
✨Auction & Pack Drawing are now open!✨@steveaoki x @antonitudisco
Links👉https://t.co/G7sWtj8Zkv & https://t.co/Mz0IryIJrx
Let's GO!🔥 pic.twitter.com/QYP3eUTtAw
— Nifty Gateway (@niftygateway) March 7, 2021
仮想通貨取引所のGeminiが運営するNFTプラットフォームであるNifty Gatewayは音楽業界をはじめとする多くのアーティストに使われています。
GeminiはFacebookをマークザッカーバーグに奪われたウィンクルボス兄弟が経営する企業で、仮想通貨取引所としては世界でも12位の取引所となっています。
Steve Aokiは初の11のユニークなNFTプロジェクトである「Dream Catcher」を発表しました。
ユニークなサウンドとアニメーションが特徴のNFTアートプロジェクトは、425万ドルで落札されました。
約5億円での落札となり、EminemやThe Weekndなど著名アーティストがNFTに進出するきっかけになりました。
高額で落札された理由として世界的に著名なDJが販売したことももちろんありますが、音楽とアートの融合としてのNFTプロジェクトは珍しい事例で、今後アーティストがNFTに進出する上でも参考になる事例です。
Don Diabloがコンサート映像をNFTで126万ドルで販売
💎 DΞSTINATION HΞXAGONIA by Don Diablo 💎
✨ Artwork by @DonDiablo
💰 Sold to deckchair for 600.0 ETH ($1,265,016.00)https://t.co/aO43KdbaV9#cryptoart #NFT pic.twitter.com/z3i3zhppyW— SuperRare Bot 💎 (@SuperRareBot) April 9, 2021
オランダの有名DJであるDon Diabloはコンサート映像をNFT化したものをNFTマーケットプレイスのSuperRareで販売しました。
コンサート映像のNFTは600ETH(126万ドル)で落札されました。
日本円で1億4500万円ほどです。
落札者はNFTに加え、コンサート映像のファイルが入った世界で唯一のUSBを受け取りました。
Don Diabloは今回のコンサートの企画に1年間の製作期間が掛かったと話しています。
NFTだけでなくフィジカルなUSBなどを同時に販売することは世界で最高値で落札されたNFTを作成したBeepleと同様ですね。
音楽NFTだけでなくフィジカルグッズも同時に販売する方法は参考になります。
ホイットニーヒューストンの未公開デモがNFTで販売
The Whitney Houston OneOf One NFT, a never-before-heard demo track from Houston at age 17, SOLD for $999,999! Thank you to all who made this incredible moment in music and NFT history possible! 🙏 @dianaesinclair #BeOneOf #whitneyhouston #NFTnews #WomeninNFTs pic.twitter.com/cmdSuyfOBH
— OneOf (@OneOfNFT) December 15, 2021
音楽NFTを扱うマーケットプレイスの「Oneof」は17歳の時のホイットニーヒューストンの未公開デモを含む音楽NFTを販売しました。
販売額は999,999ドルで、日本円で1億1500万円ほど。
デモトラックの使用は完全に個人での利用のみとされており、公開や配布は禁止されています。
所有者のみが曲を聞くことができる、特別感があるNFTとなっています。
未公開の音源であったり、個人でしか聞くことができないといった演出は今後NFTを販売する上で参考になる事例ですね。
NFT音楽の作り方と売り方を解説
NFTで音楽を販売するには、音源や音楽と映像の組み合わせでクリエイティブを作成し、NFTマーケットプレイスに出品する必要があります。
ステップとしては下記の通りです。
- 音楽販売用のNFTマーケットプレイスを選ぶ
- 出品手数料(ガス代)用のEthereumを購入する
- 音楽NFTを作る
- SNSなどで告知してNFTを実際に売る
順番に説明していきます。
音楽販売用のNFTマーケットプレイスを選ぶ
NFTマーケットプレイスであれば基本的になんでも音楽NFTを出品することができます。
「SuperRare」や「Nfty Gateway」などすでに音楽NFTが出品されているプラットフォームや、全世界で一番ユーザー数が多い世界的NFTマーケットプレイスであるOpenseaなどがおすすめです。
NFTマーケットプレイスはそれぞれ特徴があります。
【最新版】NFTアート販売プラットフォーム7選【比較/一覧】にて有名どころのNFTマーケットプレイスを解説しているので合わせて読んでみてください。
出品手数料(ガス代)用のEthereumを購入する
NFTを出品するにはガス代と呼ばれる手数料が必要になることが一般的です。
Openseaの場合ははじめの1回目の出品時にガス代が掛かります。
ガス代は時間帯や日によって異なりますが、大体5000円から1万5000円ほど掛かります。
ガス代をなるべく安い時間帯を調べるためには無料ツールを使うのがおすすめです。
【無料あり】NFTアート取引で掛かるガス代とは?相場と安く抑える方法解説にて解説しているので、参考にしてみてください。
まずはCoincheckなどで日本円をEthereumに変換することから始めましょう。
登録は無料でできて、仮想通貨初心者でも使いやすいのでサクッと登録しておきましょう。
音楽NFTを作る
音楽NFTを作る方法は難しくありません。
NFTプラットフォームにファイルをアップロードし、詳細をフォームに入力しガス代を支払えば音楽NFTを作成することができます。
Apple Musicにmp3をアップロードして曲のタイトルや歌詞を登録するのと同じようにサービス上でNFT化することが可能です。
難しくないので、まずはOpenseaなど世界的にユーザー数の多いプラットフォームで作ってみましょう。
下記記事でNFTの始め方を解説しているので参考に進めてみてください。
SNSなどで告知してNFTを実際に売る
音楽NFTを作成したら、実際にSNSなどで告知して売っていきましょう。
ただNFTを作っただけでは、誰にも知られていないのでもちろん売れません。
まずは知ってもらうことが大切なので、InstagramやTwitter、Youtubeなどで告知して実際に売っていきましょう。
音楽NFTを作ってみてなかなか売れない場合は、すでに売れているプロジェクトを参考にして戦略をパクっていきましょう。
下記記事ですでに売れているNFTアートの戦略を考察しているので参考に見てみてください。
→【具体例3つ】NFTアートが売れない理由とは?売るための戦略公開
NFTで音楽アーティストと業界は変革を迎える可能性
コロナ禍で音楽業界には大きな打撃がありました。
アーティストやクリエイターの新たな収入源として注目を浴びているNFTは挑戦する価値は大いにあるでしょう。
1回目の出品までは少し難しいですが、一度販売までの流れを理解できると2回目以降の出品は簡単です。
販売方法は下記でも詳しく5つのステップで解説しているので参考に進めてみてください。
→【販売してみたい人向け】NFT販売方法を5つのステップで解説