メタバースがバズワードとして毎日のようにニュースに取り上げられます。
企業はとりあえずメタバースと言っておけばPRできて、今風の企業になれるのでどんなサービスでもメタバース風事業として展開していますよね。
実際のところ、今すぐメタバースは流行らないと思っています。
その理由と今後メタバースが流行して世の中に浸透するタイミングについて考察していきます。
目次
メタバースが今流行らない理由
世界的に「スマートフォン」が受け入れられ、流行して世の中に浸透した例からみていきましょう。
例えばiPhoneは小さなPCなわけですが、「スマートフォン」というカテゴリで電話として売りました。
電話の代替物なので、ガラケーからの乗り換えができましたが、メタバースは現実世界から乗り換えできるものではありませんよね。
そして手が届くくらいの価格で、ソフトバンクを始め代理店が大々的に広告を回して売りまくりました。
タイミングと価格、マーケティングの3つがとても重要です。
メタバースは今すぐには流行らないことは明白で、理由は下の3つです。
- VRゴーグルが高すぎる問題
- Meta社がコンテンツを持っていない
- 一般人にはUXが難しすぎる
順番にみていきましょう。
VRゴーグルが高すぎる問題
VRゴーグルを使うことでより没入感のある「仮想現実」を楽しむことができます。
日常世界からメタバースへ半乗り換え状態になるために必要なデバイスが、現状高すぎます。
Oculus Questなら4万円程度で購入できますが、HTC VIVEなどは10万円以上。
安いVRゴーグルではPCスペックの処理ができず、重たい処理をするリッチなアプリなどは高価格帯のVRゴーグルでないと動きません。
アフリカや東南アジアの国で銀行がない人はたくさんいますが、みんなスマホは持っていますよね。
暗号通貨はスマホとデジタルウォレットのみで銀行の代わりになり、送金にも便利で法定通貨の代替になる可能性は大いにありますが、現実世界の代替品としてのメタバースはまだ現実的ではありません。
Meta社がコンテンツを持っていないから流行らない
Meta社はFacebook、InstagramといったSNSプラットフォームを利用し広告企業として売上をあげています。
しかし、ディズニーやNetFlixなどと違いコンテンツを持っていません。
メタバースにはコンテンツが必要であり、現実世界の延長線もしくは現実世界以上に楽しいものでないと人は集まりませんよね。
Meta社が100億ドルを入れて開発しているメタバースは空っぽの世界で、コンテンツを充実させることが急務であるように思えます。
一般人にはUXが難しすぎる
ブロックチェーン技術とメタバースは同時に語られることが多いです。
その理由はメタバース空間の通貨として暗号通貨が使われ、デジタルコンテンツにNFTが使われるからです。
暗号通貨の流動性、NFTの希少性、そしてブロックチェーンによる取引の透明性はメタバースのみならず現実世界にもシナジーのある技術です。
しかし、現状日本でも暗号通貨を取引したことがある人はわずか2%ほどと少ないのが現状です。
また、Decentralandなどメタバースを利用するにはデジタルウォレットが必要になります。
- Coincheckなど取引所で暗号通貨を購入
- Metamaskなどデジタルウォレットに送金
- メタバースにMetamaskを使ってログイン
上記のような手順が必要です。
そもそも暗号通貨を持っていない、デジタルウォレットを知らない、送金が怖いなどなど、UXが難しすぎるのが現状です。
Web3やメタバースは黎明期どころかまだ始まってすらいません。
早急にこのUXを一般人でも簡単に操作できるようにしていく必要があります。
メタバースは流行らないのか?セカンドライフの二の舞を避けるために
メタバースの話にはよく「Second Life」というゲームが引き合いに出されます。
「Second Life」とは10年以上前に流行ったメタバースゲームで、ゲームの中でDJをしていたり生活して友達を作ったり、企業が展覧会を開いて求人活動や商談をするなどすでにメタバースが出来上がっていました。
もちろん土地や乗り物、衣服などもゲーム内通貨でやりとりされ、ドルに換金可能でした。
しかし、一過性のブームとして過ぎ去り、忘れられていきました。
この教訓からどのようにしたらメタバースが流行るのか考察していきます。
ポイントは下記3つです。
- スマホ対応は急務
- UXを分かりやすく、簡単にする
- IPの参入を促進する
順番に説明していきます。
スマホ対応は急務
Second LifeはPCを使ってログインするゲームで、ユーザー数は数百万まで伸びましたが限界がありました。
理由は簡単で、PCを持っていない人が多いからです。
今ブームになりつつあるメタバース系サービスも一部スマホで始めることができるものもありますが、基本的にはPC。
しかもゲーミングPCのような高スペックPCが必要なものがほとんどです。
世界的に広めるためにもスマホへの対応は急務で、日常的にメタバースに触れる環境を作っていくことが必要です。
スマホやARグラスのような廉価で簡単に持ち運びができるようなデバイスで、日常の中でメタバースと現実を行き来するような体験が提供できると一気に流行る予感がします。
UXを分かりやすく、簡単にする
Metamaskも知らなければ、暗号通貨すら持っていない人がほとんどです。
騒がれまくっているNFTですら日本では2000人程度しか購入経験がありません。
理由は簡単で、辿り着くまでのプロセスが複雑すぎるからです。
Twitter創業者のジャックドーシーは決済サービスのSquareも経営しており、社名を「Block inc」に変更しました。
Web3系決済サービスとして成長させる目論見で、これがスーパーやアパレルなどリアル店舗に導入されるようになると一気に暗号通貨が日常で使われるようになるでしょう。
暗号通貨が日常で決済に使われるとなると、全ての人がMetamaskなどウォレットをスマホに入れるようになりますよね。
そこまでいけばむしろ、Googleログインよりもウォレットログインの方が簡単に利用できるので、広まっていくことが考えられます。
まずは暗号通貨が世界的に広まることに期待したいです。
IPの参入を促進する
Meta社はコンテンツがない、という話をしました。
コンテンツをたくさん持っている国は明白で、日本ですよね。
ジブリ、任天堂からスクエアエニックス、バンダイに集英社や小学館などアニメや漫画、ゲームの文化に特に強いのが日本です。
ディズニーランドのアトラクションがメタバース空間でも楽しめたり、映画を楽しんだ後に映画の世界でキャラクターたちと遊ぶ、といった体験はメタバースならではです。
コンテンツと世界観を物理的な遊園地以上に実現できるのはメタバースの強みで、そのためにはIPの参入が必要です。
マイクロソフトは「Call of Duty」「Warcraft」「Hearthstone」「Diablo」などを展開するActivision Blizzardを7.8兆円で買収しました。
Meta社もゲームや映画など、コンテンツを提供する企業を買収してIPがメタバースへ参入することを促進して欲しいところです。
メタバースは今は流行らないが3~5年後に期待したい
結論として、今メタバースは流行らないでしょう。
しかし、デバイスの進化とIPによる世界観の構築、暗号通貨が日常的に使われるようになると一気に流行すると考えられます。
実際にVRを体験したことがある人ならわかると思いますが、廉価版のOculus Quest2でさえかなりリアルなVRを体験することができます。
P2Eゲームにより銀行を持たない人が多い、フィリピンやベトナムで暗号通貨を持つことが当たり前になりました。
ゲーム会社時価総額世界5位(トークン価値)にたった2年で躍り出たAxie Infinityもベトナム企業が開発しています。
特にアフリカやアジア諸国からイノベーションが始まり、規制を促進する国は遅れていくでしょう。
まだ黎明期ですらない状態のメタバースやWeb3ですが、今後に注目していきたいです。
メタバースを実際に体験してみたい人は、下記記事で始め方を解説しているので合わせてご覧ください。